醤油って、日本の食卓にいちばん近い調味料ですよね。
うちも毎日使います。ぬか漬けにも、削り節にも、刺身にも、煮物にも。4毒抜きを始めてから、調味料の裏面を見る習慣がついたんですが、醤油の棚の前で立ち止まって原材料を眺めていたら、けっこう驚くことが多くて。
今日は、醤油の選び方について、素人なりに調べたことと、我が家がどうしているかを書いておきます。いつも通り、私は醤油の専門家でも栄養士でもないただの一実践者なので、あくまで個人の選び方として読んでもらえたら。

醤油の原材料は、本来4つだけ
まず驚いたのが、醤油の原材料って、本来はすごくシンプルだということ。
大豆、小麦、食塩、水。これだけ。
蒸した大豆と炒って砕いた小麦を混ぜて、麹菌を加えて麹をつくる。そこに食塩水を加えて、もろみをつくって、タンクや桶で寝かせる。すると麹菌・乳酸菌・酵母という3種類の微生物が働いて、大豆のタンパク質はアミノ酸に、小麦のデンプンは糖に分解されて、乳酸や香り成分が生まれる。これを6か月から1年以上かけて熟成させると、あの色と香りと旨味になる。
微生物が全部やってくれるので、本来は何も足す必要がない。
大豆・小麦・食塩、この3つだけで醤油は成立するんです。
なので、うちが醤油を選ぶときの基準はシンプルで、原材料が大豆・小麦・食塩だけのものを選ぶ。それ以外の文字が並んでいたら、棚に戻す。これだけです。裏面を見る習慣がつくと、判断は一瞬で終わります。
「本醸造」「混合醸造」「混合」の違い
調べてみて分かったのが、醤油にはJAS規格で3つの製法区分がある、ということ。
本醸造は、微生物の力だけで発酵・熟成させる伝統的な製法。アミノ酸液は使いません。日本で流通している醤油の約8割が、この本醸造です。
混合醸造は、もろみにアミノ酸液を加えて熟成させる方法。アミノ酸液を先に入れると発酵が促進されるので、本醸造より短い期間で仕上がります。
混合は、できあがった生揚げ醤油に、アミノ酸液を混ぜ合わせる方法。理論上は発酵も熟成もいらないので、即日でも作れるそうです。

このアミノ酸液というのは、大豆などのタンパク質を塩酸で分解して、中和してつくった旨味の液体のこと。「調味料(アミノ酸等)」という化学調味料とは別物で、食品添加物にも分類されないそうです。ここは自分も誤解していたところで、名前が似ているので紛らわしい。
で、ここからが大事なところなんですが。
ネットで調べていると、混合醸造や混合は「粗悪品」「混ぜ物」みたいに書かれていることが多いんです。でも、醤油屋さんのサイトを読むと、そうとも言い切れない、という話も出てきます。混合=二流品ではなく、九州や北陸など、甘みや旨味の強い醤油が好まれる地域で使われてきた、地域ごとの製法なんだ、と。実際、流通の8割が本醸造なので、混合醸造や混合はもともと少数派です。
なので私は、混合が悪だとは思っていません。あくまで、うちは大豆・小麦・食塩だけのものを選ぶ、というだけの話です。地域の文化として根づいた味を否定する気はまったくない。ここは、はっきりさせておきたいところです。
気になるのは、その先に並ぶもの
じゃあ何を気にしているかというと、混合醸造や混合の醤油に、アミノ酸液と一緒に加えられることが多いもののほうです。
甘味料、カラメル色素、調味料(アミノ酸等)、保存料。原材料表示を見ると、こういう文字が並んでいることがある。特に甘い醤油は、甘草・ステビア・サッカリンといった甘味料が使われていることが多いそうで。アミノ酸液自体には甘みがないので、甘さは別で足しているわけです。
うちが4毒抜きでやっているのは、砂糖や植物油を避けること。だから、甘味料が入っている醤油は避けたい。それに、シンプルに、原材料が少ないほうが安心できる。何が入っているか、自分で全部把握できるというのが、いちばん大きい理由かもしれません。
だし入り醤油なんかも、便利ではあるんですが、裏を見ると原材料がずらっと長い。うちはだしを別で取るので、醤油はシンプルなもので十分です。
脱脂加工大豆と丸大豆
もうひとつ、原材料でよく見るのが「脱脂加工大豆」という表記。
これ、大豆からあらかじめ油を抜いたもののことです。昔は丸のままの大豆を使っていたんですが、丸大豆には油脂が多くて、絞ったときに醤油の上に油が浮いてきてしまう。それを取り除く手間があったので、先に油を抜いた大豆を使うのが主流になった、という経緯があるらしい。抜いた大豆油は、食用油として使われる。

味の違いとしては、脱脂加工大豆の醤油は香りが立ってキレのある風味で、旨味が強い。丸大豆の醤油は、油脂が発酵中に分解されるので、まろやかで深い旨味になる。国内の醤油の8割以上が脱脂加工大豆を使っているそうです。
脱脂加工大豆は避けるべき、という意見もネットでは見かけます。ただ、これも調べてみると、単に大豆の油を抜いたものであって、それ自体が添加物というわけではない。うちは丸大豆のものを選ぶことが多いですが、脱脂加工大豆がダメだと断定するほどの根拠は、素人の私には見つけられませんでした。味の好みの問題として、丸大豆のまろやかさが好き、というくらいの話です。
我が家は、使い分けています
で、うちの実際のところ。
メインで使っているのは、イチビキのグルテンフリー醤油です。小麦を使わずに作られている醤油で、4毒抜きで小麦を避けている身としては、これがいちばん安心。味も普通に美味しくて、刺身にも、かけ醤油にも、これで困りません。
ただ、正直に言うと、煮物なんかでは小麦が入っている普通の醤油も使います。グルテンフリー醤油は種類が少ないし、値段もそれなりにするので、大量に使う料理では普通の本醸造醤油を使うことも多い。

ここは、けっこう悩ましいところで。醤油の小麦については、発酵の過程でグルテンが分解されるので、そこまで神経質にならなくていい、という話もあります。実際、醤油に含まれるグルテンはごく微量とされている。でも、じゃあゼロなのかというと、そこは製品によるだろうし、素人の私には判断がつかない。
なので、うちは使い分けています。かけ醤油みたいに、そのまま口に入るものはグルテンフリー。加熱する煮物なんかは、普通の本醸造。気にしすぎず、でもできる範囲では選ぶ。これくらいのバランスが、続けるにはちょうどいい。
どちらにしても、変わらないルールがひとつあって。それが、原材料が大豆・小麦・食塩だけのものを選ぶ、ということ。グルテンフリー醤油でも、普通の醤油でも、ここは共通です。裏を見て、余計なものが入っていたら選ばない。それだけ。
醤油は、和歌山生まれらしい
調べていて面白かったのが、醤油の成り立ちの話。
ルーツは古代中国の「醤(ジャン)」で、肉や魚や穀物を塩と一緒に発酵させた保存食の総称だったそうです。それが奈良時代までに日本に伝わって、独自の発展をしていく。
で、今の醤油の直接の起源とされているのが、鎌倉時代の和歌山県・湯浅町。金山寺味噌を作る過程で、桶の底にたまった液体が美味しいことに気づいた人がいて、それが醤油になった、と。副産物から生まれたわけです。梅酢もそうですが、こういう「たまたま出てきたものが実は美味かった」という話、けっこう好きです。
その後、江戸時代に人口が増えて、寿司・そば・天ぷらといった江戸の料理が発展するのに合わせて、関東を中心に濃口醤油が一気に広まった。江戸の食文化と醤油は、セットで育ってきたんですね。
こういう歴史を知ると、醤油ってつくづく日本の食の土台なんだなと思います。4毒抜きをやっていると、結局は日本人が昔から食べてきたものに戻っていく感覚があるんですが、醤油はまさにその中心にいる調味料。だからこそ、選ぶものはちゃんとしたい。
裏を見る習慣が、いちばん強い
醤油に限らないんですが、4毒抜きを続けてきて思うのは、裏のラベルを見る習慣がつくと、それだけで選ぶものが変わるということです。
最初は面倒でした。スーパーで一つひとつ手に取って、細かい字を読んで。でも慣れると、数秒で判断できるようになる。しかも、一度「これは大丈夫」と分かった商品は、次からは考えずに買えばいいので、だんだん買い物が早くなっていく。
高い醤油を選べばいい、という話でもありません。値段と原材料は、必ずしも一致しない。安くても原材料がシンプルなものはあるし、高くても余計なものが入っていることもある。大事なのは、値札じゃなくて裏を見ること。
そして、100点を目指さなくてもいい。うちだって、外食すればどんな醤油が使われているか分かりません。コンビニのお弁当に付いてくる小袋の醤油も、原材料を見ると醤油とは別物だったりしますが、外で食べるときはそこまで気にしません。家で使うものだけ、自分で選べるところだけ、ちゃんと選ぶ。それで十分だと思っています。
醤油は毎日使うものだから、そこを整えておくと、食卓全体がわりと整う。地味だけど、効いてくる。そんなことを、裏面を眺めながら考えています。


